【加工作成】フラットシーマーのアタッチメント

フラットシーマーの整備, フラットシーマーの縫製依頼について, ミシン整備

美泉の井上です。
フラットシーマーの加工やアタッチメントは、弊社の強みになるので基本としては社外秘扱いです。

例えば、天竺生地のようなカーリングする生地を綺麗に縫うのは、フラットシーマーだと難しいのですが、それをどの社員が縫っても綺麗に仕上がるようにしていたりします…。

ですが、今回は特別に公開します。
コレです!

アルミの削り出し部品なので、実はコレを作るのに構想1時間、作業3時間もかかりました(笑)
この写真は真上から見た状態なので、別の角度で見てみましょう。


ちょっと斜めからみたら、こんな感じ。
次の写真では裏返してみましょう。


この時点でどこに使うのか分かる人は、フラットシーマーにかなり精通しているといえるでしょう。
なおこの部品は、次の写真のように、厚さ6mmのアルミから削り出して作っています。


まずは2mm削って、厚さ4mmにしています。
アルミを削り出す機械はフライス盤を使っています。
フライス盤といえば、この東洋アソシエツさんのミスターマイスターがオススメです。
(画像は 東洋アソシエツさんのホームページから転載)

この部品が完成したあとに、4.5mm厚のアルミを見つけ、「はじめからコッチを使っておけば…」と少し落ち込んだのは言うまでもありません…

さてさて、この削り出しのアタッチメントは、このフラットシーマーに使います。

フラットシーマーの押さえと針板でも珍しい、右と左の高さが段違いになっているモノです。
左側(生地が下に重なる方)が右側(生地が上に重なる方)より低くなっています。
みなさん、コレ、何を縫うのに特化していると思いますか?


中央のラップフォーマーをずらすと段違いがよくわかります。


ほらね、段違いになっているでしょ。


段差は約1mmです。
じつは、この押さえと針板だと、30/10裏毛などの厚手生地を、綺麗に重なって縫えるのです。

ちなみに「6mm幅」の「両切り押さえ」です。
この押さえと針板は、ユニオン製です。
ミシンはヤマトミシン製なので、取付けるのにちょっとした工夫が必要です。

このユニオンの押さえに「片切りタイプ」が存在するのかは不明です。
あれば欲しいですが、ツチノコぐらいにレアすぎて入手困難なものです。

今回、アルミ削り出しのアタッチメントを作成した理由は、「フラットシーマーの縫い目の裏目を表側として使いたい」というお客様の要望があったからです。

この段違いのセットを使うと、しっかりと 左側(生地が下に重なる方) が重なるのわけですが、実は生地が1mmほど縫い目から飛び出ます。

通常のお客様であれば、それで問題は無いのですが、今回のお客様は「裏側を表として使いたい」という要望だったので生地が縫い目に綺麗に収まらなければ、格好悪い製品になる仕上がってしまします。


ということで、1mmの生地の飛び出しを調整するべく、この1.5mmを調整することにしました。
生地の飛び出しと調整幅には0.5mmの差がありますが、この0.5mmが味噌です。
アタッチメントは少し大きめに作成して、手作業で少しずつ削りながら、使い勝手がちょうどよくなるように調整します。

それでは完成したアタッチメントを装着してみましょう。



おぉぉ!ぴったり!
会心の出来上がりです。

「これって取り付けたままにして、このまま普段使いもできるのでは?」
と思ったので、ラップフォーマーも取り付けができるように中央側を斜め削り落としました。

うーん、良い仕上がりだ。

厚手生地を縫うにあたり、段違いの高さが1mmだったものが、3mmと高くなったのもいい感じです。
職人(ミシンオペレーター)からも、「これはよか!」と合格点をもらい、めちゃくちゃ嬉しいです。


弊社ではフラットシーマーを12台保有していますが、このようにアタッチメントを自社で作る技術があります。
今回ご紹介したのは、フラットシーマーを縫うことに特化した、弊社のほんの一部です。

フラットシーマーは宇宙服にも使われているとの情報もありますので、将来、宇宙服(船内服?)の縫製依頼に応えることができるように切磋琢磨してきますので、NASAもしくはJAXAの担当者の方、よろしくお願いいたします(笑)

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